要点をざっくり
- 学校法人森友学園への国有地売却問題で、「大幅な値引きの根拠」となった「地中にあるごみ」の深さについて、業者がうその報告書を作成したと証言しました。
- 森友学園に大阪府豊中市の国有地を売却する際、およそ8億円が値引きされています。
- この根拠となった資料も、改ざんされていたことが判明しました。
採掘業者が報告書を改ざん
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、約8億円の値引きにつながった地中ごみを試掘した業者が、ごみは実際より深くにあると見せかけた虚偽の報告書を作成したと、大阪地検特捜部の調べに証言していることがわかりました。
学園や財務省近畿財務局側から促された、という趣旨の説明もしているということです。
値引きの根拠が揺らぐ可能性があり、特捜部は証言について慎重に事実確認を進めている模様です。
ゴミ撤去から始まった国有地買取
学園は当初、国から用地を借りて建設工事を進めていましたが、06年3月に9.9メートルのくいを打ち込んでいた際、想定より深い部分からごみが見つかったと国に報告しました。
この直後、学園は土地を買い取りたいと国に希望し、受け入れられています。
開校予定日が約1年後に迫り、新たに見つかったごみ処理の手続きに時間がかかると判断し、土地購入を持ちかけたとされています。
しかし、結局このゴミは撤去されていません。
提出された嘘の報告書
学園は2015年5月、大阪府豊中市に小学校を建設するため、国と借地契約を結びました。
16年3月、深さ9.9メートルのくい打ち工事中に地中から「新たなごみ」が見つかったとして国に対応を要求。
国はごみの撤去費を価格に反映させて土地を売却する方針を決め、学園にごみに関する資料提出を求めました。
学園側は4月11日、建設業者が8カ所を試掘した結果、最深で地下3.8メートルにごみがあったとする写真付きの報告書を提出しました。
出典:毎日新聞
国では、小学校建設予定地(8770平方メートル)については、9億5600万円と鑑定評価。
そして、ゴミの撤去費について、国は今回のごみ撤去の値引き額を試算する際、地中レーダー調査の結果を考慮し、校舎や体育館、グラウンドなどとして使われる5190平方メートルを撤去区域に指定。
敷地全体の約6割に、家庭ごみや廃材が多く埋まっていると推定しました。
国は地中3・8メートルまでの層にごみがあると見込み、9.9メートルのくい打ちで出るごみも含めて総量を1万9500トンと算定し、撤去費を8億2千万円と算定。
6月20日、土地評価額から同額を引いた1億3400万円で学園に売却しました。
捜査関係者によると、業者は3.8メートルの記載について過大だったと認め、「事実と違うことを書かされた」「書けと言われてしょうがなくやった」などと説明。
当時、学園側は小学校の開校時期が翌年の4月に迫っているとして、損害賠償をちらつかせて国に対応を迫っていました。
特捜部は財務局職員らが不当に安く土地を売却したとする、「背任容疑」などで告発を受け、捜査を進めています。