【ノート界の陸王】ショウワノートが中小企業の特許で新ノートを作る‼︎

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

要点をざっくり

  • 「ジャポニカ学習帳」などで知られるショウワノートが、開いたときに中とじ部分が盛り上がらず、左右の段差ができない「水平開きノート」を発売した。
  • 東京都の小さな町工場が開発した技術を、ショウワノートが量産化した。
  • この元になったノートは、従業員4人の中村印刷所が開発したもの。

ショウワノートが段差のない「水平開きノート」を発売

「ジャポニカ学習帳」などで知られるショウワノート(富山県高岡市)が、開いたときに中とじ部分が盛り上がらず、左右の段差ができない「水平開きノート」を発売しました。

このノートは、東京都の小さな町工場が開発した技術を、ショウワノートの製造・販売基盤を生かして量産化にこぎ着けたものです。

同社の担当者は「黒板の板書もそのまま写せる。見開きいっぱいのページを自由に使ってほしい」と話しています。

元になった段差のできない「ナカプリバイン」は、中村印刷所(東京)が2014年に開発し、手作りで生産していました。

16年に従業員の孫娘がツイッターで宣伝したところ、3万件以上のリツイートが寄せられ、「おじいちゃんのノート」として話題となりました。

 

 

これに目を付けたショウワノートが連絡を取り、中村印刷所と特許技術の提供、監修などの契約を結んで1年かけて共同開発を進めてきました。

11月に発売されたノートは、B5判5ミリ方眼30枚で、1冊250円(税抜き)。赤、青など5色を用意しています。

 

 

この二人のおじいちゃんが、今までどのメーカーも作れなかったノートを作ってしまったのですからすごい話です。 

中村印刷所の社長の話 

中村印刷所の中村輝雄社長は、

「小学生向けノートのトップメーカーから出してもらえてうれしい。将来の日本を背負って立つ子供たちにストレスのないノートを使ってほしい。勉強嫌いの子供にも抵抗なく開いてもらえれば」

と話しています。

 

 

足袋屋がスポーツシューズを作る「陸王」の話とかぶりますね。

下町の小さな印刷工場が作った1冊のノートが、世界に名だたるショウワノートの力でさらに飛躍しています。

確かにこの見開きの段差のないノートは今までありませんし、見開きがあるとコピーをしても黒くなって上手くコピーがとれません。

これからこの特許技術は、ますますノートや本に使われていくのではないでしょうか。

 

おじいちゃんのノート誕生秘話

この「おじいちゃんの」ノートを作成しているのは、家族4人で営んでいる「中村印刷所」という会社です。

事務所には活版時代の活字や、長年使い続けて年季の入った印刷機などが並んでいます。
印刷業に関しては新規開拓はせずに、これまでの取引先との受注生産がメインですが、その中で新しい分野として3年ほど前から打ち出しているのが「ノート制作」でした。
きっかけは、近くで製本業を営んでいた男性(79)が店をたたんだことだそうです。

「印刷と製本は関係が深い。うちを手伝ってくれないか」と社長の中村輝雄さん(72)が声をかけ、この男性は中村印刷所でアルバイトとして働くことになりました。

今回のツイートの主はこの男性の孫娘です。

2年間かけて社長とこの男性が2人で試行錯誤の末に完成させたのが、見開きいっぱいまで使える方眼ノートでした。

この製造方法に関して中村印刷所として「特許」をとりました。

高い技術は評価されましたが、なかなかノートが売れず数千冊の在庫を中村印刷で抱えてしまいます。

このアルバイトの男性は、罪悪感を感じ孫娘にノートをまとめて渡しました。

「これ、学校の友達にあげてくれ」と。

そしてこの孫娘が、元旦に軽い気持ちでツイートしたところものすごい反響があり、続々と注文が殺到したのだそうです。

こういう「奇跡のような話」が本当にあるんですね。

おじいちゃんのノート-下町の職人魂がオンリーワンを生んだ-

おじいちゃんのノート-下町の職人魂がオンリーワンを生んだ-

 
小さな町工場の技術が大企業を凌駕する。
これこそ池井戸潤の「下町ロケット」や「陸王」の世界です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です