【北海道ホワイトアウト】苫小牧で男性1人死亡‼︎5年前には父が娘を抱きしめて凍死⁉︎

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要点をざっくり

  • 発達した低気圧が通過し冬型の気圧配置が強まった影響で、道内は2日も大荒れの天候が続いています。
  • そんな中、苫小牧市の林道で、雪で動けなくなった車の救援に向かったロードサービス会社の、20代の男性従業員の死亡が確認されました。
  • 2013年の3月2日には、この猛吹雪で父親が娘をかばって亡くなるという悲惨な事故も起きています。

また襲ってきた数年に一度の猛吹雪

 

2013年に9名の死者を出した猛吹雪が、再度北海道を襲っています。

 札幌管区気象台は、「命に関わる」として、2日午後まで外出を控えるよう呼び掛けています。

 

そんな中、1人の尊い命が犠牲になりました。

 

苫小牧署によると、1日午後5時15分ごろ、苫小牧市丸山の林道で、車の救援に向かった北広島市のロードサービス会社の従業員から「自分たちも自走できなくなった」と110番があったとのことです。

 

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同署などが捜索したところ、2日午前3時半ごろ、千歳市勇舞(ゆうまい)8、同社従業員筒井智寛(ちひろ)さん(28)が林道で倒れているのを発見しましたが、筒井さんは間もなく死亡が確認されました。

 

他の男性従業員2人と、救援を求めたNHK苫小牧支局の男性記者(27)は無事救助されたとのことです。

 

除雪車を見に行き「ホワイトアウト」で身動きがとれなくなる

 

この男性記者(27)は2月28日午後、シカ撃ちのため1人で軽RVを運転中、林道で動けなくなり、同日午後5時ごろに保険会社を通じロードサービス会社に連絡しました。

この林道は滅多に人も入らず、除雪もされていないとのことです。

 

救援用の車2台が現場に向かいましたが雪に埋まり、会社に除雪車を要請。

その、除雪車が到着しなかったため、筒井さん1人が徒歩で様子を見に行き、行方不明になってしまいました。

道路には、約1メートルの積雪があったとのことです。

 

NHK札幌放送局によると、男性記者は休暇中で、鹿狩りのため林道を車で1人で走っていました。

同局は「救助に来られた方が亡くなったのは痛恨の思い。ご迷惑をかけた関係者におわびする」と謝罪しています。

 

2013年3月2日の吹雪の死亡事故

 

ちょうど5年前の2013年3月2日、漁師の岡田幹男さん(享年53)は、学童保育に通うひとり娘・夏音ちゃん(当時9才)をかばって亡くなりました。

岡田さんは、2011年に妻を亡くし、男手ひとつで夏音ちゃんを育てていました。

 

その日、自宅から6km離れた児童センターへ車で向かった岡田さんは、自宅と児童センターの送り迎えだったため、薄手のジャンパーをはおっただけの軽装で家を出てしまったということです。

 

その帰り道に、スキーウエアを着込んだ娘の夏音ちゃんを乗せた岡田さんの軽トラックが、雪に埋もれて動かなくなりました。

 

娘を守るため10時間抱き続けた父の最期 

 

エンジンはかかるものの車は動かない。

車内で救助を待とうにも、ガソリンが少なく、暖房も長くは使えない。

何より、恐怖と寒さで凍える夏音ちゃんを早く安心させてあげたい。

そう考えた岡田さんは、夏音ちゃんを連れて、近くの知人宅に避難しようと車を降りて歩き始めました。

 

しかし、吹雪によるホワイトアウトのため全く周りが見えません。

 数時間後、岡田さんがやっとの思いでたどり着いたのは、車から300m先の牧場倉庫でした。

入り口を開けようとしましたが、入り口の扉には鍵がかかっていて、中に入ることはできません。

 

 

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現場倉庫 

 

吹雪は岡田さんの体力を奪い、もう一歩も歩けない。

朦朧とした意識の中、岡田さんは、ある決意をします。

 

「この子だけでも守る」

 

着ていた薄手のジャンパーを脱ぎ、夏音ちゃんに着せると、雪が少しでも入ってこないように、両手で強く覆いかぶさるように抱きしめました。

 

それから約10時間もの間、岡田さんは、祈る思いで娘を抱き続け、翌3日午前7時、警察官がふたりを発見した時には岡田さんの脈はなく、すでに死後硬直が始まっていたということです。

 

亡くなるまで歌を歌い娘を励ます

 

岡田さんは、娘さんを溺愛しており、お酒を飲んだり仕事中も「さっちゃん」の名前を娘さんの名前に変えて歌っていたそうです。

 

 ♪ナッちゃんはね ナツネっていうんだ ほんとはね

 だけど ちっちゃいからじぶんのことナッちゃんって よぶんだよ

 おかしいな ナッちゃん♫

 

娘さんに覆いかぶさり、この歌を歌いながら励まし、徐々に声が聞こえなくなっていったとのことです。

 

消防関係者は

「ふたりの上半身は雪で埋まっていたのですが、夏音ちゃんが窒息しないように小さい穴が掘られていたんです。岡田さんは娘を温めながら、顔に積もった雪を必死で振り払っていたんです。それを見た救急隊員は、岡田さんがどれほど必死で娘を守ろうとしていたのか、胸がつまる思いがしたそうです」

と語っています。

 

そのおかげで、夏音ちゃんは、軽い凍傷だけですみました。

 

現在、夏音さんは、地元の親戚の家に引き取られ、中学で生徒会長もやっているそうです。

このまま、強く育って欲しいと心から願います。

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